読書履歴
[学園創世猫天! 5] 岩原裕二
毎回独創的な、地に足の着いた造詣の世界観を見せてくれる岩原作品ですが、今回は「猫と喋れる高校生5人組+ヒロインが世界を救う」というお話。この5巻で完結。ガンガンと謎とヒントが提示されていって、最後にカタストロフと同時に種明かしといういつものパターンでしたが、それでも刊行されるたびにどうなっちゃうんだとハラハラし通し。読後感はスッキリ爽やか!
それにしても、動物のデッサンもさりながら、椿姫ばりに美少女の死体を出せる人ってスゴイ。あ、あとカラーページはエイハブかと思いました。はい。
[トーキョーN◎VA The Detonation リプレイ ビューティフルデイ あるいはヒュー・スペンサー最後の事件] 稲葉 義明
トーキョーN◎VAのファンジンは多数出回ってますが、実はオフィシャルリプレイはわずかに3冊と佳作。しかも内2冊は絶版で今手に入れられるリプレイはたったこの1冊しかありません。「ふりむけば死」がその後のリプレイに与えただろう影響は、今思うとリプレイというより古典SFの趣。新作もそんな気概のこもった一冊。
この10年、2nd以後の怒涛の展開についていかれず疎遠になったN◎VAですが、ページをめくるたびにどっとこみ上げる郷愁。もうオメガのおやっさんはおらず、美南子もおそらく当人ではなくなっている、今までもこれからも変わり続けていくだろうN◎VAですが、そこにあるのはやはりまぎれもなくN◎VAでした。
[ナポレオン獅子の時代 10] 長谷川 哲也
シャープ少佐およびホーンブロワー君のイギリスの宿敵ことナポレオンが出てくる漫画は他にもありますが、主に歴史物の少女漫画だったりして、出てくるといっても1~2コマがせいぜい、いまいちどうすごいのか判らないナポレオンですが、読むとなるほどすごいんだなと。少佐がスペインに上陸する頃にはいったいどんな怪物になっているのやら。
例によって見渡す限り変態だらけ、敵も味方も変態の荒野ですが、変に小奇麗な戦争漫画より妙なリアリティがあります。戦争って怖いなあ。そんな大陸軍はシヴィライゼーションレボリューションにも出張中。数年ぶりに、あのジュノーに人間らしい台詞があるのがファンとしては見逃せませんよ。
[愉悦の蒐集ヴンダーカンマーの謎] 小宮 正安
各地に現存するヴンダーカンマーの豊富な写真を交えながら、歴史的見地からかつてヨーロッパ王室を席巻したヴンダーカンマーブームの成り立ちから収束までを解説しています。
Flickrの検索結果をみると、言語を問わずドイツ語のヴンダーカンマー(Wunderkammer)が広く定着しているようです。本書の説明ではややオカルトがかったものも収蔵品に含まれるとありましたが、flickrを見る限りではコミカル・キッチュな印象のものが中心で、日本の根付も一種のヴンダーカンマーと見なされてるのが興味深い。
そして、てっきり同義語だと思って検索した、キャビネット・オブ・キュリオシティーズ(cabinet of curiosities)では、ホルマリン漬けと人体解剖標本が...。内容も一気にアングラ趣味になってしまいました。
三連休は、試験勉強の反動で「ラノベを一杯読まないと勉強ができない」発作が発動。
そのほかに「剣客商売を読まないと(後略)」「ベルセルクと全巻制覇しないと(後略)」「FSSデザインズを読み込まないと(後略)」などの症例も多数。
[神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと白銀の虎] あざの 耕平
自らに頼むところが大きい人間が、ある日まぎれもない天才にあってしまった…。
才気煥発と自他認める主人公が、ねちねちと同業者に嫉妬を向けてる描写がグッド。主人公が心にモワモワドロドログチョグチョとした澱を抱え込んでるのがデフォの時代小説ばかり読んでると、ラノベのキャラクターの内省にちょっと物足りなさを感じるのもしばしばですが、ひさしぶりに屈折したキャラを堪能させていただきました。
ポリフォニカシリーズには珍しくズバリ音楽を主題にとりあげた作品で、孤高の老ヴァイオリニストの演奏は、アラウ(ピアニスト)かいやハイフェッツか、と想像しながら読み進めるのも楽しかったです。



