1月下旬に読んだ本
「イムリ 3」 三宅 乱丈
昨年、1・2巻同時発売されたSF漫画の新刊です。
邦訳SFの風情がある漫画。独自のテクノロジーとか特権階級に掌握されている世界観などなど、まさにそんなかんじ。
緻密な展開に、実は原作小説があるんじゃないかという気になってきます。「空飛ぶデブ」「スパイス」とかに反応してしまうアナタにお薦め。
2巻末でクーデターに巻き込まれたミューバ様がますます大変なことに。主人公を差し置いてカーマ内部がすごいことになっていく緊張感がたまらない。
「夢見る昭和の乙女たち―抒情画家、藤井千秋の世界」
しばらく模写にはまっている藤井千秋のムック。
藤井千秋は少女雑誌華やかなりし昭和年間に活躍したイラストレーターです。昭和20年代から40年代まで、人気挿絵画家として持てはやされた時代から、やがて忘れ去られていく晩年までの遍歴を辿ります。
なかには原画が紛失したのか掲載誌面がそのまま掲載されている例もありますが、なかなかにお洒落。技術的にも様々な制限のある中で、編集スタッフの心意気やセンスが感じられます。
「イスタンブールの群狼」 ジェイソン・グッドウィン
19世紀、斜陽のオスマントルコ帝国の首都イスタンブール。
近衛新軍の士官4名が行方不明になり、市中で惨殺死体で発見された。捜査を依頼された宦官ヤシムは、10年前に鎮圧されたイェニチェリ残党の犯行を疑うが──。
オスマントルコ・イェニチェリ・宦官のコンボでやられました。
イスタンブールといえば80年代少女漫画→白人宦官は金髪碧眼という妄想スパイラルに陥り、おもわずフラフラと買ってしまいましたが、ページを開けばそこは萩尾望都の世界、ではなくてレクター博士が徘徊しているような猟奇殺人多発地帯でした。
晩期オスマントルコというそうそうお目にかからない舞台設定ですが、主役がやや散漫な印象だったのが残念。
探偵役ヤシムは多国籍語を操り、宦官なので後宮もフリーパス、スルタン・母后(ヴァリデ)とも面識があるというすごいキャラ立てなものの、結果は残すもののけして名探偵ではなく、あくまで語り手という立場が物足りない。
脇役では結構著名人が出てきますが、当時の情勢に詳しい訳ではないので「ぐっ」と来るものがなかったのが残念。歴史に詳しい人なら小躍りして喜びそう。
一方、主人公ヤシムを食っていたのが脇役の二人、母后とポーランド大使パレフスキー。
この時代、すでにポーランドはロシアに併合されいるのですが、当時のスルタンは帝国領土を狙うロシアへのせめてもの嫌味に、ポーランド大使館に年間予算を下賜、有名無実のポーランド大使館を存続させているのでした!
とはいえ、年間予算はかろうじてパレフスキーが生活していくのがやっとの額。服を新調するゆとりもないけれど、そんな貧乏暮らしの中でも飄々と暮らしているパレフスキーが素敵です。
母后も『冬のライオン』のキャサリン・ヘプバーンまではいきませんが、かなりいい性格。
ヤシムはそっちのけで、この二人を主役にした続編が読みたいというのが正直なところですw
作者はこれがデビュー作だそうです。
文庫本にしてお値段は920円税込。ンモウ、ハヤカワったら...。



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