黄金時代
何年かぶりに映画館に行きました。
今日見てきた「エリザベス・ゴールデンエイジ」は、いまいちメジャーになりきれない「エリザベス」のまさか出るとは思ってなかった続編。
イギリス黄金時代を統治したチューダー朝のエリザベス一世が主役。
前作同様、史実に基づいてはいるものの時系列無視、判りやすさ・エンターテイメント優先な長谷川マジック展開。豪華絢爛な時代劇衣装に加え、ゴシック様式の教会建築でのロケも見所です。
前作「エリザベス」は、まったく予期せずにイギリス女王となり、内憂外患の政局に振り回される新女王エリザベスのたどたどしさと、その裏で暗躍するスパイマスター・ウォルシンガムの極悪非道っぷりとで、一粒で二度美味しいかんじの宮廷陰謀劇でしたが、さて今回は。
当時、ウォルシンガムの腹黒さにキュンキュンした私としては、もちろん映画館に見に行かざるをえますまい。
前作が好きだったので特に情報もチェックすることなく、とりあえず公開日に映画館へゴー!
公開日直後ですけど、以下ネタバレです。
ネタバレ注意
前作「エリザベス」ではカトリック・プロテスタントの対立や、王位継承権をめぐって、国内外の多くの政敵からことあるごとに命を狙われ、ウォルシンガムの計略によってかろうじて命をつないだエリザベスでしたが、「ゴールデンエイジ」冒頭には、すでにゆるぎない磐石の地位を固めています。
もはや国内には敵はおらず、ウォルシンガムの後頭部に突っ込みをいれるほどの貫禄を発揮。...いや普通できないから! 怖くて!
劇中皺を気にしたり、史実に照らし合わせると、今回のエリザベスは結構お年のようです。
そのわりにはロシア以下各国から見合い話がきてますけど、政略結婚にさほど年は関係ないのか? エリザベスとイワン雷帝と同時代の人間だったのには、ちょっとびっくり。
今回ウォルシンガムはやや脇に退き、三人の女性を中心にストーリーが進みます。
イギリス女王エリザベス。
エリザベスと同名の侍女ベス。
スコットランド女王でありながら幽閉された、かつてのエリザベスと同じ境遇にあるメアリー・スチュアート。
エリザベス自身を投影させる二人ですが、
...あれ、メアリーって前作で死んでませんでしたっけ?
と思ったら、前作に登場したのはメアリー・オブ・ギーズ、メアリー女王の母でした。うーむ、母子ともどもエリザベスの手にかかって死亡するわけですねー。うわー。
このシリーズ、表面的な華やかさだけでなく、こういった歴史上のエグミがちゃんと出てくるのが好きです。
最大のエグミは、やはりカトリックとプロテスタントの対立ですが、前作は「これでもか!これでもか!」と出てきた残酷描写も控えめ。ただそれは画面上に見えないまでで、脈々と根底に流れ続けています。
カトリックだったメアリー女王の処刑への報復を名目に、無敵艦隊を差し向けてくるスペイン王フェリペ。
その艦隊を待ち受けるエリザベスは、兵士に向かって「信仰・思考の自由を守るために戦え」と鼓舞します。
くちばしの黄色かったエリザベスもいまや立派な統治者に、と思うと同時に、ああこの映画も9年の歳月、9.11の影響を免れ得なかったのだなと思いを新たにしました。
一方、ウォルシンガムもまたスパイマスターというより前作のご意見番バーリー卿(セシル)の役割を割り振られ、私生活が明かされるなど変貌を遂げています。
頭は白髪まじりになり、家に帰ればごく普通の生活があり、暗殺計画に加担していた弟にスパイマスターらしからぬ慈悲をみせるなど、前作からは想像できない姿です。自身が思いを寄せるローリー卿との関係が発覚した侍女ベスをそしるエリザベスに、慈悲を請うのも、かつての彼ではありえなかったのかもしれません。
まあ、やることはやってるんですけど。
凡例) 拷問・脅迫・スパイ行為
見ている間は「なんでこんなに丸くなっちゃったの?!」「何このアンリ・バンコラン」と動揺しましたが、愛されるキャラクターだっただけに、ウォルシンガムが一番変化せざるをえなかったのかもしれません。
...まあ、前作のヒロイン・ダドリー(よく泣く)と比べて、今作のローリー卿が男前すぎるせいだとは思いますけど。イギリス海軍名物はやっぱり焼き討ち船ですね。
劇中、イギリス・スペイン両国君主は、十字架とライティングを使って意図的に対比されてます。
同じように光の中に立っていてもエリザベスは明なのに対しフェリペは暗、同条件のはずなのに対照的で面白かったです。
また常にフェリペ王のかたわらにあって、ただ無言で威圧するかのように父親を見ている少女・イサベラ王女が印象的でした。
だからお父さん、娘の前でうかつなことを口走ってはいけないと。
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